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子どもの頃は壮絶ないじめを経験した大島美幸さん
「いじめなのか遊びなのかわからない」と思いながら、徐々にエスカレートしていった嫌がらせ。森三中・大島美幸さんは、今でこそひとり息子の母として穏やかに暮らしていますが、その心の奥底には、今も消えない「砂場の記憶」が刻まれています。 【写真】「あんなに苦しかった場所」から遠く離れて。石垣島でリスザルと触れ合い、穏やかに笑う現在の大島さん(8枚目/全10枚)
■「泣くと面白いから」服を脱がされ、裸で砂場に埋められた小4の夏 ── 2002年に放送作家だった鈴木おさむさんと結婚。現在は10歳になる息子さんと3人で穏やかに暮らしているそうですが、大島さんが子ども時代に受けた壮絶な体験が子育てにも影響しているそうですね。当時は「遊びといじめの境界線」が今ほどはっきりしていない時代でした。
大島さん:幼稚園のころはそうでしたね。私は引っ込み思案な子どもでした。女の子のボスにジャングルジムに登らされて、みんなから一斉にボールを当てられたことがあって。小さいボールだから痛くはないけど、決していい気分ではない。「これが遊びなの?」と違和感がありました。 ── 小学生になると、その「違和感」が明確な形になったと。 大島さん:今度は別のボスの女の子がいて、「お菓子を買ってきて」とパシリにされたり、3、4人で自転車で移動するときに私を先頭にさせて、目的地に着いたら私ひとりだったり。4年生のときがいちばんハードでした。砂場で女の子たちが勢いよく穴を掘っていて、呼ばれたと思ったら「よし、オッケー!」の掛け声で服を脱がされてそのまま砂に埋められたんです。
あまりの恐怖に「なんでそんなことして笑ってるの?」と泣き叫ぶと、「みい(みゆき)が泣くと面白いからだよ」と言われました。トイレに押し込まれて上から水をかけられたり、毎日、何かしらのいじめを受けていました。 ── それはあまりに凄絶です。先生やご家族には相談できなかったのでしょうか? 大島さん:先生の前ではみんな「ふざけてるだけ」と装うし、ボスはかわいくて先生の評判もよかったから、言っても無駄だと思っていました。親には絶対に心配をかけたくなかったので、いっさい話さなかったです。自分にも嘘をついて、毎日「今日も楽しかった」と言って家に帰っていました。あんなひどいことをされていると親が知ったら、気が気じゃないだろうから。察してもらわなくて、それでよかったです。
■27歳、加害者からの電話。「ごめんね」ではなく放たれた絶望のひと言 ── ボスの気分で大島さん以外の子も、無視されることがあったそうですね。 大島さん:ボスの言葉は絶対だったので「今度はあの子を無視しよう」と言えば、みんな従いました。順番に無視されていったので、小学5年生になるころにはクラスのほとんどの子が一度は無視されていましたね. ── その後、いじめの連鎖は止まったのでしょうか? 大島さん:私が無視されているときに、自分がいじめられる覚悟で心配して声をかけてくれた女の子がいて。「大丈夫?」「私と喋ると無視されるよ」「そんなの関係ないよ」って。この言葉の影響も大きかったんだと思いますが、「こんないじめの連鎖、止めよう」って、勇気を出して周りに声をかけたんです.
まずはいじめられる人の気持ちをわかってもらうために、みんなでボスを無視したら、2日で彼女が泣いて謝ってきて…そこでおしまい。でも、いじめられた側の傷はそこからが長いんですよね. ── 大人になってから、当時の加害者と接する機会があったそうですね. 大島さん:27歳のころ、番組の企画でいじめの再現VTRが放送された後、当時のボスから電話がかかってきたんです.私は心のどこかで「あのときはごめんね」という言葉を期待していました。でも、彼女が放ったのは「ああいう放送は辞めてほしい。名前を出さなくても私ってわかるから」という言葉でした.
── 謝罪ではなく、自分の体裁だった. 大島さん:「あぁ、変わってないな」と。そこからもう関わってないです.周りから「そろそろ許してあげたら?」と言われたこともありますが、27歳のときにあの感じだと難しいですよね. 中学生のときに嫌がらせをしてきた男性にも芸人になってから会いましたが、相手は「あのころ楽しかったね」と笑ってたんです.私にとっては昨日のことのように鮮明で消えない傷なのに、相手にとっては面白い思い出.その温度差が何より苦しかったです.
■「息子のメールを週1回見る」過保護と言われても守りたいもの ── 現在、大島さんは小学4年生の息子さんの母です.ご自身の経験は、子育てにどう影響していますか? 大島さん:息子には「何かあったら親に言って」と伝えています.自分は親に言わなかったので矛盾しているかもしれませんが、今はSNSもあるし、何が起きているか知っておきたい.息子とは約束したうえで、「ごめんね、たまに見てるよ」と、週に1回ほど、キッズ携帯のメールをチェックしています.息子も「全然いいよ」と理解してくれているので.
──「息子も我慢しているのでは」と、つい敏感になってしまうのでしょうか. 大島さん:それはありますね.友達が家に遊びにきたら、「うちの息子、最近どんな感じよ?」って事情聴取みたいに聞いちゃう(笑).息子の周りの人間関係や環境は知っておきたいです.担任の先生とも普段からコミュニケーションをとるようにしています. ── 子どものために些細な変化も見逃したくないという気持ちは親ならば誰でもありますし、大島さんのような経験をされていたらなおさらです.
大島さん:大人になっても子どもの傷って残るんですよね.今はもう、誰かが誰かを咎めているのを見るだけで苦しい.人より敏感なのかもしれませんが、同じ苦しみを見るのも聞くのも嫌ですね.全人類いつも笑っていてほしい、そう心から思っています. … 「親を悲しませたくない」と、大島さんが毎日ついた「今日も楽しかった」という優しい嘘.子どもが発するSOSは、言葉ではなく、大切な人を守るための「沈黙」に隠れていることもあります.もし、わが子があなたに同じ嘘をついているとしたら.私たちはそのサインをどう受け止め、向き合えるでしょうか.
取材・文:松永怜 写真:大島美幸
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